第10回 クロスカルチュラル・フォーラム

欧米・日本の女性と仕事

イタリア・オーストリア・米国・日本の女性の、仕事や社会との関わりをテーマとした講演を通し、その奥底の価値観について考えます。

日時:平成26年1月19日() 午後2時~5時

場所:精華町交流ホール (精華町役場2階)

申込不要・先着100人・参加費無料

主催: 精華町、XCP(クロスカルチュラル・プロジェクト)、せいかグローバルネット 

 協力: せいか地域ITサポーター「ITゆう」


女性と仕事  パトリッツィア ゾッティ

2013年の世界男女格差報告書によるとイタリアは世界で第71位で男女格差はほとんどの国で、減少しましたが、イタリアではあまり変化がみられません。イタリアの女性の就業率は47.1%、女性の平均時給は男性より11.5%低く、27%は第1子の出産後に離職し、第2子のいる女性の約15%は仕事に戻りません。女性支援のための法律はありますが、様々な社会的状況が女性が働き続けることを難しくしています。私は今、研究者として、日本で夫と子供と暮らしています。息子は日本の幼稚園に通っていますが、私も息子も、イタリアとの違いに戸惑っている状況です。日本でイタリア人の夫と子供と一緒に研究生活を続けるのは大変厳しいことです。しかし、決して仕事をやめません。仕事を続けなさいと言うお母さんの大切な教えを尊重するために毎日頑張ります!!!

「コンラード家の三世代~祖母・母・私の人生の歩み方」

コンラード・イレーネ(オーストリア出身・大阪大学大学院言語文化研究科)

私の祖母は今83歳ですが、商業高校を卒業した後結婚し5人の子供を持ちました。母は60歳。ウィーン大学とリンツ大学を卒業後に結婚して福祉関係の仕事に就き、その後、結婚し二人の子供がいます。私は26歳、ウィーン大学日本語学科の大学院生です。この私の家族、コンラード家の三世代の人生の歩み方からみても、社会の女性に対する考え方は変化していることがわかります。今や女性もオピニオンリーダーになることが求められてきています。そのためにも女性へのより高度な教育が必要になってきているのです。

「子育てから管理職まで~変わりゆく米国女性の身分」

ペルコビッツ・スティーブン(米国出身・精華町国際交流員)

 米国では、50年代まで子育てが女性のあるべき姿だとみられていました。60年代に入ると、第2派フェミニズム運動などが変化を促し、女性の就職がますます活発になりました。現在、男性と女性のギャップがしつこく残る一方、女性の社会進出を示す兆候もみられます。特に、シリコンバレーの最先端技術業界においては、有力な人物が続出しています。また、米国はさまざまな文化が混交している国であり、地域や民族により女性の社会役

割に対する考え方が異なる部分もあります。これは、50州それぞれの産後休暇や育児休暇に関する法律でもみられます。地域などにより前進するペースが異なりますが、全般的にみると米国が男女平等に向かっている傾向にあるといえます。

中学生から見た社会における女性の立場と活躍
 精華町立精華西中学校 国際交流部

~アンケートを集計して感じたこと~

・子どものことをよく考えている人が多かった。

・男女差別をなくすという意見が多かった。

・個人の自由を尊重した意見が多かった。

・みんなそれぞれ考えをもっていることがわかった。

・共感できる意見が多かった。

・いろんな意見に関心をもてた。

・生まれ変わるなら、今のままがいいという人が多かった。

・男子で女性に生まれ変わりたいという意見が意外に少なかった。

・男子の中に女子の友達関係がうっとうしいと思っている人が多く、驚いた。

・男子が女性のことを考えているということがわかった。

・男女で意見が少しちがっていることがわかった。

・家の手伝いをしている人が結構多いことがわかった。

・どちらに生まれ変わりたいかという質問で男子は85%もの人が男子と答え、女子に生まれたいと答えたのはわずか4%だった。それに対して、女子は59%が女子と答え、34%が男子と答えた。このことから、女子の中には男子の方が生きやすいと考えている人がいることがわかった。

・過半数の女子が「将来働きたい」、「子どもをうんだあとも働きたい」という意見をもっている。しかし、子育てを大切に考えているので、子どもが小さい間は母親が家にいるべきだと考えているとわかった。しかし、一方で、子育てしながら働いている女性については、かっこういい、えらいという肯定的な意見をもっていることがわかった。

・男女ともお互いの立場になって考えていることがわかった。また、男子が女性の考えを尊重していることがわかった・質問の内容によって、男女の割合が全然違っていて、 男女で考えていることが違うんだなあと思った。

・男女それぞれに対する昔からのイメージが強い。女の人は家で、男の人は外で働くというイメージが強いなと感じた。

・女性が仕事を持つ上で、男女差別をなくすことが大切だと考えている人が多かった。

・男女とも子育てについて心配していることがわかった。

・男女お互いに人の気持ちや将来のこと、子どものことなどを考えていることがわかった。

男子が女性に対する意見をしっかりもっているとわかった。


クロスカルチュラル・フォーラムを始めて10年が 経過した。各国から選ばれた留学生の生の声を届けてきたが、まだまだこの地域の人々の意識を変えるには至っていない。ここで、対象を子供たちに変えて、小中高に

留学生を連れていき交流を図るクロスカルチュラル・プロジェクトに力を注ぐことにする。

日本語の問題に関しては、グローバルな世界に向けて日本語がこれまで通り、曖昧なままではすまされないと考えて研究を行っている。詳しくはこのホームページの「日本語テキスト・論文」の項をご覧いただきたい。